ダークスーツ

暗い、また黒っぽい色・柄の生地で仕立てられたスーツの総称ビジネススーツの代名詞となるほどサラリーマンの制服化しているが、本来、欧米諸国ではダークスーツという場合、略礼服的な意味合いをもつ。主には、ダークグレーや濃紺地などで作られたスーツのことで、日本で黒無地の素材で作られるフォーマルスーツは、海外では礼装としては通用しないとされている。

ダーツ

平面的な生地を、丸みのある立体的な身体に沿わせるための縫製技法のひとつで、「縫込み」のこと。布地の一部をつまんで、縫い消された部分のことで、このダーツを取る量の多い、少ないがオーダージャケット、オーダーパンツなどアイテムのシルエットを左右する。

ダービータイ

ネクタイの1種で、 イギリスのダービー競馬場で、このスタイルのネクタイが流行したことが、名前の由来とされており、幅タイフォーインハンドタイの別名でも呼ばれる。もっとも一般的なネクタイの形で先端が剣先のようにとがっており、巾の広いほうを「大剣」、狭いほうを「小剣」と呼び、このネクタイの巾は、スーツの流行に左右されることが多く、タイトスーツには狭いネクタイ巾、ルーズスーツには広めのネクタイ巾が合わされることが多い

ターンナップ

スラックスの裾の折り返しのこと。 主にイギリスで使われる言葉。ターンナップが付くようになったのは20世紀の初めのことで、最初は特にターンナップ・トラウザーの呼び方がされた。それまでは、すべてシングル仕立てとされていたのが普通で、あるダンディが雨に濡れるのをおそれて裾を折り返したことに始まるといわれる。

ダイイング

「染色」を意味し、染料や顔料で繊維、スライバー、織物、布、皮革などを着色することをいう。色には白色も含まれることから、精錬・漂白することも広い意味での染色に含まれる。染色方法を大別すると「先染めトップダイ」と「後染めピースダイ」のふたつがあり、前者は糸または綿の段階で染めるもの、後者は織物の段階で染めるものをいう。

タイクリップ

ネクタイをシャツの前立てなどに止めることで、固定するタイホルダーの一種で、その形がワニの口に似ていることから、「ワニグチ」の
名前でも呼ばれている。

タイタック

ドレッシーなスーツに合わせられるネクタイ止め、タイホルダーの一種で、宝石や貴金属を施した鋲のような形をしたタイピンでネクタイを刺し、裏側から座金で挟んで止めるような仕組みになっているもの。

タイチェーン

ドレッシーなスーツに合わせることが多い、装飾性の高いタイホルダーの一種で、タイバーにチェーンがついており、チェーンをネクタイの表側を通し、バーの部分でネクタイの裏側を止めて使う。タイチェーンは日本で付けられた商品名である。

タイドアップ

ネクタイをきちんと締めること。 また、そうした着こなしはタイドアップルックといわれる。ハリスツイードや、コットンスーツなど、カジュアル色の強い素材のジャケットにネクタイを締めて「タイドアップ」のような使われ方をする。

タイバー

ネクタイをワイシャツの前立てに挟んで止めるタイプのタイホルダーの一種で、小さな棒状のクリップの形をしている。日本名では、「通し型」と呼ばれることもあるネクタイ止め。

タイピン

フォーマルスーツ専用に使われるタイホルダーの一種で、ピンの頭に真珠や宝石が付けられたクラシックな飾りピンであり、ネクタイに刺して止めるタイプのもの。

タイホルダー

ネクタイ留めアクセサリーの総称タイピンタイクリップなどの種類がある。

タイマッチシャツ

シャツとネクタイを共生地(同一生地・同一色柄の生地)を使い作られたシャツセットのこと。シャツをオーダーする際に、余り生地でネクタイを作ったり、ハンカチを作ったりするサービスをしてくれるメーカーもある。

タイユール

フランス語でいうテーラー、仕立て屋のことで、メンズのスーツやコートを仕立てるオートクチュールの部門をいうこともある。また、スーツそのものに相当する意味をもち、女性用のスーツの中で、かっちり仕立てられたテーラードスーツのこともいう。タイユールは、本来「洋服屋・裁縫師」の意味。

タウン・スーツ

一般に街着に着るスーツの総称。 カントリースーツに対して用いられ、ビジネスウエア向きに仕立てられた背広を意味するが、日本ではビジネススーツよりも遊びの感覚が強いカジュアルなスーツをさすことが多い。ストリートファッション的なスーツ。スーツが一張羅として愛用された当時のタウン・スーツといえば、礼装的なスーツに対しての軽い着心地感のもの。コットンスーツなどのカジュアル・スーツほど、ドレスダウンされた着こなしのものではなく、外出着・遊び着としてのスーツ

タキシード

夜間の準礼装・半礼装として用いられるフォーマルスーツのこと。 タキシードはアメリカでの呼び方で、イギリスでは同様のものをディナージャケット、フランスではスモーキングジャケットと呼ぶ。もっとも現代的な礼服、社交服と呼ぶことができ、デザインや生地の変化も多い。変わったデザインや生地で仕立てられたものは、ファンシータキシードと呼ばれる。アメリカはニューヨーク州オレンジカントリーにある「タキシードパーククラブ」のユニフォームとして19世紀の末、決定されたことに名称が由来する。ちなみにパーティの招待状に「ブラックタイで・・」として指定があればタキシード着用「ホワイトタイで・・」の場合は燕尾服の着用をそれぞれ意味する。燕尾服は夜間の正礼装となる。

ダスター・コート

ほこりよけの意味を持つ軽いコート。60年代に日本で流行。元々はオープンカーに乗る際に用いられていた。

タスマニアメルノウール

オーストラリア・タスマニア島の自然豊な放牧地で育った、血統を保持している羊からしか採れない希少性の高い素材で、そのシェアはオーストラリアで採れるウール全体の5%以下。その希少性からウール市場では世界最高の価格がつけられ、高級ブランドなどの服地として使われている。

立毛編み(たちげあみ)

パイル編みの一種で、パイルをカットして毛羽立たせたものをいう。

タック

ヒダ」のこと。 スラックスのウエストバンド下部によく見られ、これのないものを”ノータック・スラックス”、1本のものを”ワンタックスラックス”2本のものを”ツータックスラックス”などと用いられる。タックの有無・本数はパンツのシルエットを考える上でとても重要

ダブルカフス

シャツの袖口の作り方で、一般的なメンズシャツの一重で糊付けされたシングルカフス(バレルカフス)に対して、カフスを折り返して二重にし、カフリンクスで止めて使用するタイプのドレッシーなシャツカフスのこと。フレンチカフスとも呼ばれる。

ダブルブレステッド

ジャケット、コートなどの前の打ち合わせがダブルになっているものの総称、またそうしたスタイル。この場合の衿型はピークドラペルが使われ、フロントカットは水平になるのが常識とされる。だらしなくなるという理由から前を開けて着用することがないため、着こなしの巾が狭いのが難点。

ダブルノット

ダブルノットプレーンノットが、ネクタイの細巾側の小剣を軸に大剣を1周まわして結ぶのに対して、もう一回まわす回数を増やすことで、ノットの結びめが厚く大きくなるため、ワイドスプレッドなど衿開きが広めの最近のスーツには合わせやすく、より立体的でおしゃれ度も高いネクタイの結び方

タブレス・タブカラー

衿先にカラーピンを通すための穴が開けられたシャツの衿型で、カラーピンの上にネクタイを通す使い方がタブカラーに似ているため、タブレス・タブカラーと呼ばれている。タブレス・タブカラーは衿先の短めなショートポイントで作られているものが多く、カラーピンの上を通されるネクタイの重みで衿先をきちんと止めることができる機能性と、ドレッシーな装飾性を兼ね備えてシャツデザイン。衿先にピンホールを持つことから、「ピンホールカラー」、「アイレットカラー」とも呼ばれる。

玉縁(たまぶち)ポケット

縁取りポケットの総称。他に、片玉縁や両玉縁などがあり、「パイピングポケット」とも呼ばれる。

段返り(だんがえり)

トラディショナルモデル背広に見られるボタンの付け方で、第一ボタンがラペルの裏側に隠れた感じのものをいう。したがって、そのボタンホールは衿の外側からはっきり見えることになり、こうしたデザインはトラディショナルモデルの象徴とされる。

チェスターフィールドコート

チェスターフィールドコート(Chesterfield coat)とは、外套の一種である。丈はやや長めが基本であり、膝程度が一般的である。見た目はフロックコート背広に近い。19世紀に、チェスターフィールド伯爵がはじめて着たのが最も有力な由来とされる。特にヴィクトリア時代下のイギリスでは、男性の外套として流行した。
現在の日本では、フォーマルとして着ることはもちろん、ビジネスやカジュアルとしても着こなすことができるので、非常に人気があるコートの一種になっている。 正式なものは、ボタンが見えないような比翼仕立て(隠しボタン)と呼ばれるもので、上襟はベルベット仕立てラペルは拝絹の物があるが、一般的には、シングルまたはダブルの打ち抜きで襟も共布になっている。

チェストウェルトポケット

主にジャケットの左胸についている、ごく一般的な切りポケット

チェンジポケット

背広上着の右脇ポケットの上に付けられた小物入れ用の小さなポケットのこと。チェンジは小銭のことを意味することから、小銭、切符、鍵などを入れる用途に使用するポケット。チケットポケット切符がくしなどの別称があるのは、小銭のほか切符(チケット)を入れるため。実際の機能的な用途よりも装飾的なディテールとしても好まれており、着丈の長めなブリティッシュ仕様のスーツには特に相性が良い

千鳥格子

千鳥格子とは、猟犬(ハウンド)の牙(トゥース)の形を模した柄を連続させた地と模様が同形の格子縞。英国が発祥の定番格子柄だが、日本では千鳥が連なって飛ぶ姿に見えるための名称。少し小さ目の柄だとトラディショナルな印象があり、大柄になるほどスタイリッシュになるが、柄自体の主張が非常に強いため、他のアイテムと合わせる場合は色数やトーンをまとめる等の着こなしのセンスが求められる。

チュニック・スーツ

ハーフコートに近い長い丈(チュニック丈)のジャケットと、スラックスで構成されるスーツのこと。チュニックは服装史の最初にでてくる基本的な”貫頭衣”を意味するほか、軍服の種類など広義な解釈がなされる服のことであるが、ここではスリークォーターレングスのジャケットの総称として使っている。

チョークストライプ

スーツ服地の柄で、チョークでひかれた線のように輪郭がぼやけたストライプのこと。サキソニーなど起毛感のあるツイード生地に少し線がぼやけて見えるチョークストライプは、雰囲気がとても合っており、秋冬スーツの定番柄といっても良い。

ツイード

太い紡毛糸を使って織られた平織り、または綾織りの生地の総称。スコットランドのツイード河流域を原産地とする。スポーティな感覚が持ち味で、カントリーライクなコート、ジャケットに多用される。本来、ツイードは手紡ぎの紡毛糸を手織りで織った綾織物を意味する英国スコットランド特産の織物であったが、現在ではその風合いに似たざっくり感のある厚地織物を総称する服飾用語として用いられている。ツイードは綾織りを意味するツイルの語源ともなったもの。

ツーピーススーツ

ジャケットとスラックスのふたつで構成されたスーツ。 ごく一般的なスタイルだが、全般に普及したのは第二次世界大戦後のことと新しい。アメリカでの服装の簡略化がもたらした現象だが、戦前はスリーピーススタイルで帽子をかぶるのが常識とされていた。共地のベストオーバーを組み合わせた“フォーピーススーツ”というのもある。現在では、スーツといえばツーピーススーツの印象が強い。

テーラー

一般に、「洋服店」「仕立て屋」のことをさすが、多くは紳士の注文服を作る店のことで、婦人服店のこととなる「ドレスメーカー」の対語として使われる。また、紳士服の裁縫師という意味も持つ。

テーラードスーツ

女性用のスーツのうち「男もの仕立てをしたスーツ」の意味。背広の凝った呼び方である。対して女ものの仕立てのことは”ドレスメーカード”という。メンズのスーツに使用されることの多い、耐久性を重視した打ち込みの強い生地を使用し、メンズ特有のすっきりとしたラインが特徴的なもの。華奢な体型をもつ女性が、メンズシルエットのスーツを着るのは、そのギャップからか、ファッション的にも斬新さがある

ティー・シェープド・ラペル

T字型の衿で別名インバーテッド・エル・シェープ(逆L字型)ともいう。下衿の角を削ぎとった衿。

ディトーズ

ジャケットとスラックスを同じ生地で仕立てたスーツのことをいう。スーツは上下を共生地で仕立てた衣服のことをさすため、同じもののようにみえるが、ディトーズという場合、ベスト、さらには帽子やカバン、ネクタイなど小物類までスーツと同じ生地で作るというところが少し違っている。ディトーは、「同上、繰り返し」の意味がある。

手かんぬき

消耗が激しい部分に施す、手縫いでの補強のこと。

テキスタイル

織物、布地、織物の原料など、広義には繊維製品全般をさす服飾用語であるが、一般には生地などの織物とその原料を意味する。テキスタイルはラテン語の「織る」という意を語源とし、テキスタイルデザインといえば織物を考案することとなる。オーダースーツで用いられる生地もテキスタイルと呼ばれ、服地を扱う服地問屋や商社などにもテキスタイルの名前を持つ会社は多い

ドレススーツ

男性のイブニングドレスとしての夜会服また礼服のこと。 燕尾服タキシードなどの、夜間用フォーマルウエアのこと。この場合のドレスは「礼服の」「正装の」という形容詞に使われている。夜間の式服には、衿表に付けるフェイシング・シルク(拝絹)、アクセサリー類など、ドレス・アップするための小道具も多く、華やかな着飾る晩餐会などの社交的なシーンを演出する

トラディショナルモデル

一般的には、ナチュラルショルダー、シングルブレステッド、段返りのジャケットにストレート型のパンツを合わせるものを指す。

ドロップサイズ

寸法表示の一種で、胸囲から胴回りの寸法を引いた数字ドロップと呼び、ドロップの大小でぴったりしたサイズがすぐにわかるという方法である。ドロップ12を基準にして数字が大きくなるほどやせ型向きとなる。

ドロップショルダー

背広の肩線の1種。 全体に丸みがあり、肩先が落ちた感じのもの。以前コンチネンタルモデルの背広によく見られた肩線である。厳密には、袖付けを肩先点(ショルダーポイント)よりも外側、腕側に落とした(ドロップ)位置につけることで、丸みを帯びた優しいショルダーラインとなる。ゆったり着用したカジュアルジャケットや、胸ダーツを省き、ずん胴にルーズな着こなしをするトラッドとの相性も良い